この記事で分かること
- 経費精算の時間は、入力ではなく何に使われていたのか
- 承認する側の手間を減らすために、申請の段階で何をしたのか
- 自社の経費精算で、まず何を数えればいいか
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
紙の伝票は、経理に届くまでに何をしていたか
ファーストキッチンは多店舗を展開するハンバーガーチェーンです(正社員138名、契約社員88名、パート・アルバイト2,000名/2018年10月現在)。
経費の申請は紙でした。社員は紙の様式に記入し、領収書を並べて申請書に留め、上長に出します。上長が承認した伝票は財務経理に回り、経理は中身を確かめ、事前の申請と突き合わせてから、支払いデータを作って振込を頼みます。精算の入力は本部の担当者が1件ずつ行い、事前申請との照合に時間がかかっていました。
マクセラスの解釈
重かったのは入力そのものより、紙を人から人へ渡し、突き合わせ、綴じて保管する工程だったと当社は見ています。
02How ─ 変えたこと
申請の入口で止め、紙を回さない形に
同社は業務の効率化と内部統制の強化を目的に、会計システムの会社から紹介された楽楽精算を2018年2月に入れました。準備の期間は2か月ほどです。社員や勘定科目の登録はマニュアルを見ながら自社で済ませ、仕訳や振込データの設定はサポートの担当者と画面を見ながら進めています。
工夫したのは、申請の段階でのルールです。承認する側の負担を減らすため、申請時に引っかかる NG の条件を多く設定しました。誤りのある申請を、上長や経理に届く前に止める考え方です。
社員は領収書をデータでアップロードし、事前の申請とその場でひも付けます。申請・確認・承認は画面の上で、会社が決めた精算日までに終わります。止まっている伝票や差し戻した伝票には催促のメールが自動で届くので、漏れもなくなりました。紙の領収書は、本社に置いた専用の箱に入れるだけです。
マクセラスの解釈
入力を速くしたのではなく、入力の前後にあった「回す」「突き合わせる」「綴じる」を落とした事例です。とくに、承認者の目に頼っていた確認を申請時のルールに移したことが、経理の時間を減らした中心だと当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 01様式に記入
- 02領収書を綴じる
- 03上長が承認
- 04経理が照合
- 05伝票を保管
5工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01様式に記入
- 02領収書を綴じる
- 03上長が承認
- 04経理が照合
- 05伝票を保管
AFTER
- 01データで申請
- 02ルールで確認
- 03画面で承認
- 04経理が確認
- 05箱に入れる
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 申請時に NG の条件に当たる申請を止める
- 止まっている伝票・差し戻した伝票への催促
人に残したこと
- 申請と領収書
- 社員が領収書をアップロードし、事前の申請とひも付けて出します。
- 承認と確認
- 上長が画面で承認し、財務経理が内容を確かめます。
03After ─ 結果
3時間ほどの作業が30分に。未精算もなくなった
楽楽精算を入れてから、経費精算の作業は3時間ほどから30分になりました。財務経理がいちばん大きいと感じた効果は、伝票を綴じて保管する手間が大きく減ったことです。領収書データを事前の申請と結び付けられるので、未精算もなくなりました。
全社でクラウドの仕組みを使うことで社員の IT の力が上がり、システムに触れる機会の少なかった営業部門が、ほかの部署の仕事を理解するようになったとも担当者は話しています。
数字の出どころ
楽楽精算が公開したファーストキッチン株式会社の導入事例による、同社の報告値です。3時間と30分が1日・1回・1か月のどの単位の時間かは書かれていません。電子帳簿保存法に合わせて原本を捨てる運用は、取材時点では今後の予定とされています。
04自社への応用
自社の経費精算にも、同じ回り道はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、確認を承認する人の目に頼らず、申請の入口に移したことです。紙が人の手を渡るたびに確認が足される仕事は、ほかにもあります。
- 多店舗の小売・飲食
- 店舗の申請が本部に届くまで処理できず、照合が月末に集中する
- 建設・現場が多い会社
- 領収書を持ち帰らないと精算できず、紙の差し戻しが続く
- 営業が多い会社
- 交通費の経路や金額の誤りを、経理が1件ずつ見つけて戻す
- バックオフィス全般
- 誰の申請が止まっているか、聞いて回らないと分からない
まず何を調べるか
まず1か月、経理が差し戻した申請の件数と、その理由を書き留めてください。日付の抜けや科目の誤りなど、同じ理由が繰り返し出てくるなら、それは申請の段階でルールとして止められる確認です。差し戻しが多いほど、入口で止める効果は大きくなります。
あなたの会社なら、何時間か
申請する人と処理する人の両方に時間がかかります。両方を人数に入れてください。
マクセラスの解釈
確認は、後ろで見るより入口で止める。
承認者や経理が目で見つけている誤りの多くは、決まった形をしています。私たちもまず差し戻しの理由を集め、入口のルールに移せるものから探します。
05まとめ
まとめと参考資料
- 紙の伝票を回し、事前申請と突き合わせ、領収書を綴じて保管する工程が経理の時間を取っていた
- 申請時のルールで誤りを止め、領収書はデータで出して画面で承認する形にした
- 自社では、1か月の差し戻しの件数と理由を数えるところから始める
参考資料
- ファーストキッチン株式会社 導入事例楽楽精算・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

