この記事で分かること
- 稟議と請求書の処理は、承認の前のどこで詰まっていたのか
- FC東京が、承認の回数を減らさずに手間を減らした進め方
- 自社の稟議で、まず何を1か月数えればいいか
改善の結果
約50%削減
稟議承認の手間
事例の見出しの値で、本文では承認者が「体感として承認にかかる時間は半分程度」と語っています。時間の前後は公表されていないため、前後の比較は載せていません。
経理の残業は1人あたり月5〜10時間減
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
稟議と請求書は、承認の前のどこで詰まったか
東京フットボールクラブ株式会社(FC東京、従業員50〜99名)は、移籍金や FIFA への支払いなどクラブ特有のものを含め、月に約700件の請求書を処理しています。ワークフローはすでに電子化していましたが、使いづらく、申請に時間がかかり、金額や振込先口座の入力ミスも出ていました。
部門別の予算は Excel で手作業で管理していたため、各部門は残りの予算をその場で確かめられず、物を買うたびに部長へ問い合わせていました。グループ入りでガバナンスが整い、稟議の件数も増えていました。さらに、Jリーグのシーズン移行で月次決算を翌月7営業日で締める必要が出てきます。
02How ─ 変えたこと
申請する人の入力を減らし、全社で作り込んだ
経理を支援する公認会計士の提案は、経理処理の手前の申請まで含めてまるごと見直すことでした。選ぶ基準は、申請者が迷わない画面、遠征やスカウティングの出張先からスマホで申請できること、予算の消化率が見えること、申請フォームと承認経路を柔軟に作れることです。
導入は、経理グループのマネージャーをリーダーにしたプロジェクトチームで進めました。週1回の定例でテストと業務フローの見直しを重ね、部長とマネージャーはあえて作る側に入らず、メンバーが作ったフローを「初見でどう思うか」で確かめています。他部署にもフォームの使い心地を聞き、3つの拠点で申請者向けの研修会を開いてから、2025年シーズンの開幕に合わせて本番に移しました。
請求書は AI-OCR が取引先・金額・日付などを読み取り、それ以外の入力項目は減らしました。予算の残りは申請者が自分で画面で確かめられ、稟議の金額を超えると知らせが出ます。
マクセラスの解釈
承認の回数は減らさず、承認の前にある「申請者の手入力」と「予算の確認の問い合わせ」を減らした事例です。承認者に届く申請の誤りが減ったことが、承認の手間の半減につながったと当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 01請求書を手入力
- 02部長に予算を聞く
- 03申請する
- 04誤りを確認
- 05承認
5工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01請求書を手入力
- 02部長に予算を聞く
- 03申請する
- 04誤りを確認
- 05承認
AFTER
- 01AI-OCRで読取
- 02予算を画面で見る
- 03スマホで申請
- 04承認
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 請求書の取引先・金額・日付などの読み取り(AI-OCR)
- 予算の消化率と残高の表示
- 稟議の金額を超えたときの知らせ
人に残したこと
- 承認
- 回数は減らさず、人が判断します。スマートフォンからも行えます。
03After ─ 結果
承認の手間と、経理の残業が減った
人によっては月に何百件も承認している承認者が、体感で承認にかかる時間は半分程度になったと話しています。経理メンバーの残業は平均で1人あたり月5〜10時間、チーム全体で数十時間減りました。担当者は、要因として AI-OCR の効果が大きいとしています。
予算の残高を申請者が自分で見られるようになり、部長への問い合わせも要らなくなりました。
- 月間の請求書処理
- 約700件
数字の出どころ
バクラクが公開した東京フットボールクラブ株式会社の導入事例(2025年6月公開)による値です。約50%は事例の見出しの値で、本文では承認者の体感として語られています。見出しの「最大10時間」は、経理メンバーの残業の減少(1人あたり月5〜10時間)の上限です。
04自社への応用
自社の稟議も、承認の前で止まっていないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
承認が遅いと言われる会社の多くは、承認者ではなく申請の準備で止まっています。この事例の要は、そこを申請者の側から軽くしたことです。
- 購買・発注
- 見積を転記して申請する。金額の根拠を都度探す
- 経理
- 予算の残りが分からず、承認者が確認してから返事する
- 現場を持つ会社
- 承認者が外出中で、戻るまで案件が動かない
- 小規模の会社
- 承認できるのが社長だけ。全部がそこで詰まる
まず何を調べるか
まず1か月、差し戻しになった申請の件数とその理由、予算の残りを聞かれた回数を記録してください。差し戻しの多くが入力の誤りなら、承認の回数より先に入力を減らすほうが効きます。3回以上承認があり途中で差し戻しがほとんどないなら、その承認は形だけになっていないかも見直してください。
あなたの会社なら、何時間か
申請する人と承認する人の両方が関わります。両方を人数に入れてください。
マクセラスの解釈
承認をなくすのではなく、判断できる状態で渡す。
速くすべきなのは判断そのものではなく、判断に必要な情報が揃うまでの時間です。導入の成否を分けるのは画面の分かりやすさで、申請する人が迷えば遅れと誤りがそのまま承認者に届きます。
05まとめ
まとめと参考資料
- 申請者の手入力の誤りと、予算の残りを聞く問い合わせが、承認の前で手間を生んでいた
- 全社を巻き込んだチームで作り込み、AI-OCR と予算の見える化で申請者の入力を減らした
- 自社では、差し戻しの件数と理由を1か月記録し、承認の前の詰まりを探すところから始める
参考資料
- FC東京がバクラク導入。稟議承認の手間を約50%削減、残業時間を1人あたり最大10時間削減に成功バクラク・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

