この記事で分かること
- 在庫の数が、なぜ現物とずれ続けていたのか
- 数える作業を減らすために、先に何をなくしたのか
- 自社の棚卸で、まず何を記録すればいいか
改善前 → 改善後
60時間
ネジ258点の棚卸1回(ほど)
30時間
置くだけの管理にした後(程度)
日々の入出庫作業も週15時間から7〜8時間へ
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
在庫の数は、なぜ現物とずれていたのか
伸和コントロールズは、半導体やフラットパネルディスプレイの製造で使う温度・湿度の管理装置をつくる会社です。九州事業所では、ネジやビス、チューブといった副資材の出し入れを、現場の作業者や管理者の手で記録していました。
取り出すたびに QR コードを読み、数を打ち込む運用です。打ち間違いや入れ忘れが起きると、帳簿の在庫と棚の在庫が合わなくなります。在庫が減ったら出す発注用のカンバンも出し忘れが起き、欠品が出る一方で、不安から多めに頼んで在庫が余ることもありました。棚卸は毎月と半年ごとに行い、半期の棚卸は1個ずつ数えるため、現場の大きな負担でした。
02How ─ 変えたこと
数えなくても在庫が分かる形を先に作った
きっかけは約2年前の展示会で、重さで在庫を量るスマートマットクラウドを知ったことです。決め手は2つあります。平らな板なので、形や大きさの違う副資材を置くだけで管理できること。箱型の仕組みでは、サイズが合わない物が扱いにくかったといいます。もう1つは、決めた量を下回ったら発注できる機能など、量るだけで終わらない広がりです。
狙いははっきりしていました。ネジを手に取るたびに数を打ち込むのをやめ、置く・取るだけで在庫が更新される形にすることです。いまはネジ・ナット・ボルトなど258点ほどをこの仕組みで管理しています。マットを置くときに「どの棚に何を置くか」を考え直したことで、倉庫の整理整頓も進みました。
一方で、すべてを一度に切り替えてはいません。発注は従来のカンバンと併用しながら運用し、残りの副資材196点に232台を足していく計画です。最終的な目標は「手入力の管理をやめる」ことに置いています。
マクセラスの解釈
棚卸を速くしたのではなく、数えなくても在庫が合っている状態を先に作った事例です。日々の記録が正しければ、棚卸はクラウドの数をそのまま使えます。ずれの原因である手入力を外したことが、棚卸と日々の作業の両方を軽くしたと当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 01QRを読む
- 02数を手入力
- 03入力漏れ
- 04棚卸で数え直す
- 05カンバンで発注
5工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01QRを読む
- 02数を手入力
- 03入力漏れ
- 04棚卸で数え直す
- 05カンバンで発注
AFTER
- 01マットに置く
- 02重さで数が分かる
- 03クラウドで確認
- 04カンバンと併用
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 重さから在庫の数を量り、クラウドに残す
人に残したこと
- 置く・取る
- 作業者は副資材をマットに置き、取り出すだけで記録が残ります。
- 発注
- 今は従来のカンバンと併用し、発注の自動化はこれからの予定です。
03After ─ 結果
棚卸も日々の入出庫も、ほぼ半分に
12月と6月の年2回行う実地棚卸は、ネジ関係で1回60時間ほどだったのが30時間程度になりました。クラウドの数をそのまま使えるので、1個ずつ数える作業がなくなっています。日々の入出庫の入力などは、週15時間ほどから7〜8時間になりました。打ち間違いが減り、作業者の負担も軽くなったとしています。
- 稼働しているマット
- 271台(管理する部品は258点ほど)
- 今後の予定
- 残り196点・232台を追加
数字の出どころ
スマートマットクラウドが公開した伸和コントロールズ九州事業所の導入事例による、同社の報告値です。棚卸は年2回のため、削減は年間ではなく1回あたりで示されています。60時間は導入前の課題の説明では「60時間以上かかることも」とされています。
04自社への応用
自社の在庫にも、同じずれはないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、棚卸の遅さではなく、日々の記録が現物に追いつかないことでした。数を手で打ち込む在庫管理なら、同じずれが起きます。
- 製造・部品在庫
- ネジや消耗品を使うたびに入力する。忘れた分が棚卸で見つかる
- 飲食・食材管理
- 閉店後に在庫を数えるが、発注量は勘で決めている
- 建設・資材置き場
- 誰がいくつ持ち出したか分からず、現場ごとに数え直す
- 小売・バックヤード
- 棚卸のたびに差異が出るが、原因が特定できない
まず何を調べるか
まず1か月、帳簿と現物がずれた品目を書き出し、ずれの原因を「入れ忘れ」「打ち間違い」「その他」に分けてください。前の2つが多ければ、数え方より日々の記録の取り方を変える方が効きます。重さで量れるのは、同じ重さの物がたくさんある在庫です。
あなたの会社なら、何時間か
棚卸は回数が少ないぶん、1回の重さが見えにくい仕事です。日々の入力時間も足して数えてください。
マクセラスの解釈
数えるのを速くしても、ずれは減りません。
在庫が合わないのは数え方ではなく、記録が現物に追いついていないからです。私たちも、入力を速くする前に、入力しなくても記録が残る形にできないかを考えます。
05まとめ
まとめと参考資料
- 手入力の打ち間違いや入れ忘れで帳簿と棚の在庫がずれ、棚卸で1個ずつ数え直していた
- 置くだけで重さから数が分かる仕組みを、カンバンと併用しながら副資材に広げている
- 自社では、棚卸でずれた品目と原因を書き出すところから始める
参考資料
- 1回あたり60時間かかっていた棚卸工数を約50%削減スマートマットクラウド・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

