この記事で分かること
- 検査報告書づくりの8時間は、何に使われていたのか
- 工場で撮って答えるだけにするために、何を選んだのか
- 自社の報告書づくりで、まずどこを測ればいいか
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
なぜ報告書づくりが1人に集中していたのか
長谷川鉃工は、青森県津軽地方に2つの工場を持つ鉄骨ファブリケーターです(従業員1〜50人)。製造が正しく進んでいることを示すため、案件ごとに検査報告書を作って顧客に出しています。
写真は工事用のデジタルカメラで撮り、事務所でパソコンに移します。数十枚の写真から報告書に載せるものを選んで手を入れ、現場ごとに用意した Excel の様式に貼り込んでいました。カメラや写真選びのアプリを扱えるのが主に1人で、報告書が重なると残業になり、報告書のためだけに事務所へ戻ることもありました。
マクセラスの解釈
時間を取っていたのは文章を書くことより、撮った写真を事務所で選び直して書式に並べる作業で、撮る場所と仕上げる場所が離れていたことが往復を生んでいたと当社は見ています。
02How ─ 変えたこと
工場で撮って、質問に答えれば報告書になる形に
同社が探したのは、工場にいながら報告書を作れる仕組みです。社員は IT に詳しい人ばかりではないため、入口には、普段使っている LINE と似た画面の LINE WORKS のチャットボットを選び、報告書のデータは kintone にためる組み合わせにしました。
作業はこう変わりました。工場で iPad を使って製造工程を撮り、そのままチャットボットの質問にタップで答えながら写真を選んで送ります。答えた内容は kintone に入り、検査報告書の形で出てきます。事務所では Excel に出力して画像の位置を整え、メールで送るだけです。答える作業は、慣れれば1分もかからないとされています。
広げ方にも順番がありました。まず営業部の1人がやり方を覚え、そこからほかの社員に教えています。教えるのが簡単になったことで、今は誰でも報告書を作れるようになったと担当者は話しています。
マクセラスの解釈
変えたのは書く道具ではなく、報告書の材料がそろう場所です。撮った瞬間に「どの工程の写真か」を答えてしまうので、あとで思い出して選ぶ作業が残りません。操作を覚えさせるより、聞かれたことに答える形にしたことが、1人に偏っていた仕事をほどいたと当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 01カメラで撮る
- 02事務所へ戻る
- 03写真を選ぶ
- 04Excelに入れる
- 05手直しして出す
5工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01カメラで撮る
- 02事務所へ戻る
- 03写真を選ぶ
- 04Excelに入れる
- 05手直しして出す
AFTER
- 01iPadで撮る
- 02質問に答える
- 03報告書を出力
- 04位置を微修正
- 05メールで送る
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- チャットボットが質問を出し、回答と写真を kintone に入れる
- kintone の情報から検査報告書を出力する
人に残したこと
- 撮影と回答
- 工場で iPad で撮り、質問にタップで答えて写真を選びます。
- 仕上げと送付
- 事務所で画像の位置を微修正し、顧客にメールで送ります。
03After ─ 結果
1案件8時間が2時間に。報告書は当日に出せる
1案件あたり約30枚ある検査報告書の作成は、8時間から2時間になり、業務時間内に終わるようになりました。報告書のためだけに事務所へ戻ることもなくなっています。遠方から立会い検査に来た顧客に、帰りの新幹線に乗るまでの1時間ほどで報告書を送れた例も紹介されています。
報告書の品質は以前と変わらないと担当者は話しており、引き継ぎがしやすくなって属人化から抜け出し、有給休暇も取りやすくなったとしています。
数字の出どころ
LINE WORKS が公開した株式会社長谷川鉃工の導入事例による、同社の報告値です。8時間は写真を撮る時間を除き、写真の取り込みから印刷までにかかっていた時間です。出典では75%の削減とも書かれています。
04自社への応用
自社の報告書づくりにも、同じ往復はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、報告書の材料が生まれる場所と、報告書を仕上げる場所が離れていたことです。現場で見て、戻って書く仕事は多くの会社にあります。
- 建設・施工管理
- 現場写真を持ち帰り、日報や工事写真帳にまとめ直す
- 設備保守・点検
- 点検票を紙に書き、事務所でシステムに入力し直す
- 訪問介護・訪問看護
- 訪問先でメモを取り、事業所に戻って記録を清書する
- 製造・品質管理
- 検査の写真と測定値を、顧客ごとの書式に貼り替える
まず何を調べるか
まず報告書を3件だけ、作り終えるまでの時間を「写真や記録を探して選ぶ」「書式に入れる」「書く」に分けて測ってください。前の2つで半分を超えるなら、文章の書き方より、記録をその場で整理して残す形を考える価値があります。報告書が1人に集まっていないかも、あわせて見てください。
マクセラスの解釈
報告書は、記録が生まれた場所で終わらせる。
戻ってから書く仕事には、思い出す時間と手直しの往復が必ず付きます。私たちも、記録が生まれる場所と入力する場所がずれている仕事を最初に探します。
05まとめ
まとめと参考資料
- 写真を事務所で選び直し、書式に並べる作業が1人に集まり、残業と往復を生んでいた
- 工場で撮ってチャットボットの質問に答えるだけで、報告書が出てくる形にした
- 自社では、報告書1件の時間を「探して選ぶ」「書式に入れる」「書く」に分けて測る
参考資料
- 株式会社長谷川鉃工 導入事例LINE WORKS・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

